明日へのチケット ★★★★☆

イタリアのエルマンノ・オルミ、イランのアッバス・キアロスタミ、イギリスのケン・ローチという巨匠3人のユニークなコラボレーションが実現した。全3話のいわゆるオムニバス映画なのだが、ローマ行きの特急列車に乗り合わせたさまざまな人々の人生模様を綴るという設定に基づいているため、配給会社による “共同長編”という謳い文句にも違和感はない。娘ほど年下の女性秘書への思慕の念を募らせる初老の教授。将軍の未亡人の理不尽な扱いに苦悩するなか、故郷の思い出に胸締めつけられる兵役中の青年。愛するサッカークラブを応援するため、敵地に乗り込もうとする若いスコットランド人3人組。そんな彼らとアルバニア難民らが織りなす悲喜こもごものドラマが、巨匠たちそれぞれの持ち味がくっきりと浮き出た語り口で展開していく。


上映時間:110分
監督:エルマンノ・オルミアッバス・キアロスタミケン・ローチ
脚本:エルマンノ・オルミアッバス・キアロスタミポール・ラヴァーティ
出演:カルロ・デッレ・ピアーネ 、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ 、シルヴァーナ・ドゥ・サンティス 、フィリッポ・トロジャーノ 、マーティン・コムストン 、ウィリアム・ルアン 、ブレルタ・チャハニ 、サニーイェ・デディヤ 、アイーシェ・ジューリチ 、クライディ・チョーライ 、ガリー・メイトランド

オムニバスなのだが、きっちりと分かれているわけではなく、それぞれが緩くつながっている。だから、一つの長編としても楽しめる。どの監督の作品もそれぞれ味があって甲乙付けがたい。最後のケン・ローチの作品に出てくる若いスコットランド人3人組がセルティックのファンというのは、中村俊輔が在籍しているので日本人にも馴染みがあっていい具合だった。