ラスト・ラフ/The Last Laugh(パルコ劇場)

三谷幸喜が英語訳のために書き直した「笑の大学〜International Version」を、「Stepping Out(ステッピング・アウト)」などの劇作でも知られる、ベテラン作家Richard Harris(リチャード・ハリス)が、英語上演のために初のアダプテーションに挑みました。「ブラッド・ブラザース」、「スクルージ」等の演出で日本でもお馴染みのBob Tomson(ボブ・トムソン)が、かねてより熱望していた本企画の演出にあたりました。
オリジナル舞台「笑の大学」のドラマの普遍性はそのままに、イギリス人俳優が演じるユニヴァーサルな作品に仕上がりました。
作家役は、TVドラマ「The Office」や映画「Love Actually」で日本でも人気があるMartin Freeman(マーティン・フリーマン)、検閲官役は、イギリスのコメディドラマ「オンリー・フール&ホース」や映画「ハリーポッター〜炎のゴブレット」などでお馴染みのベテラン俳優・Roger Lloyd Pack(ロジャー・ロイド・パック)、この実力派コメディ俳優二人の競演が実現しました。

座席が右端ということでプレリザーブを呪っていたのだが、検閲官の机が右を向いているので、右側に座っているほうが観やすいということが判明した(呪って悪かった)。しかも舞台の両脇に字幕の電光掲示板があるので、真っ正面に座ると芝居はよく見えるけど字幕が見にくかったに違いない。というわけで、結果的にはなかなかいい席だったw。
芝居うんぬんの前に、まず何といっても舞台装置が素晴らしかったね。特に窓がいい。うすら汚れてる感が絶妙だし、そこから差し込んでくる光で朝なのか夕方なのかが容易に分かるようになっている。また、戦局が悪化するにつれて、窓の外に積み上げられる土嚢が高くなっていく。この辺も芸が細かかった。
英語で演じてそれを字幕で見るというのはハンデキャップだった(俳優・観客双方にとって)。字幕なんか見ずに英語が理解できていればもっと面白かったと思う。字幕だとどうしても台詞を言い終わらないうちに笑いが起きたりしちゃうんだよな。それから、そんなに面白いとも思えない場面や台詞でも笑いが起きていたのは、海外旅行で英語で話しかけられると何でもイエスと言ってしまったり、何となくお追従笑いを顔に浮かべてしまう日本人気質なのではないかと思ってしまうのは穿ち過ぎだろうか。
二人の俳優も脚本も良かったのだが、やはりオリジナルは超えられない。ある意味当たり前とも言えるし、私のオリジナルへの思いが強すぎるのかもしれない。オリジナルは超えられないけど、脚本は良くできていた。オリジナルの良さを十分に活かした上で細部の設定を変えている。特に検閲官が電話で妻と話すくだりは、物語に奥行きを与えていた(オリジナルにはないよね?あったっけ?憶えていないw)。
だけどやっぱり、西村雅彦と近藤芳正は良かったよなあ。またオリジナル版が観たくなった。ちょっと高いけどDVD買っちゃおうかなあ。