あの「恵文社一乗寺店」の店長である堀部篤史氏初の著作である。タイトルにもなっている「コーヒーテーブル・ブックス」とは何なのか。著者はこう説明している。
ここでとりあげた写真集や、デザイン書、絵本やいわゆる雑本の類を僕はある種のコーヒーテーブル・ブックスとして紹介している。持ち歩いて読むには重すぎる、もしくは文庫本のように乱暴には扱えないちょっと珍しいもの。実用や芸術性を離れてそこにもう一つの物語を読み取ることの出来る本。
単なる本の紹介ではなく、著者自らの「編集能力」を活かして、映画、音楽、文化、ファッション、デザイン等々のリンクを絡めてその本にまつわる1つのストーリーを紡ぎ出している。一言でいえば、実に洒落た本である。映画の趣味には近いところがあったようで、『ゴースト・ワールド』、『グッドナイト・グッドラック』、『アメリカン・スプレンダー』などをフィーチャーした話は個人的に楽しめた。
誤字が目立ったのは残念。「とても検討もつかないが(P.36)」、「今や知る葦もないが(P.52)」。「検討」は誤変換だと思うが、「知る葦もない」は何故そうなるのかそれこそ見当もつかない。内容的には素晴らしい本なので、きちんと校正して欲しかったなと思う。
コーヒーテーブル・ブックス―ビジュアル・ブックの楽しみ方23通り | |
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