凸凹デイズ(山本幸久)★★★★★ 3/10読了

恋愛じゃなく、友情じゃなく、仕事仲間。彼らがいつも、そばにいた。弱小デザイン事務所・凹組クロニクル。キュートでコミカル、ちょっと切ない、オシゴト系長編小説。『別冊文芸春秋』連載を単行本化。

『はなうた日和』とこれしか読んでないけど、山本幸久の書く女性はどうしてこうも活き活きとしてるかね。女性を書くのがホントに巧い。
凹組(ぼこぐみ)というデザイン事務所は元々、大滝と黒川という背の高い男性二人と醐宮純子で結成されたが、そこから醐宮が独立して、醐宮は今QQQというデザイン事務所の社長である。数年後、その二人になってしまった凹組に入ってきたのが浦原凪海で、凹組とQQQはとあるコンペで競合することになる・・。
表のヒロインが浦原凪海なら、裏のヒロインは醐宮純子だ。この醐宮純子がとにかくいいね。魅力的だ。どこがどう魅力的なのかは・・・読めば分かる。
山本幸久は細かいところが非常に上手い(ラストのダースベイダーとかね)。だけど、上手いと思わせてしまってはホントはダメなのだ。翻訳を例に取ると、上手いと思わせる翻訳というのはいい翻訳ではないのだ。いい翻訳というのは上手いとか上手くないとかを思わせないほど自然な流れになっているものなのだ。その伝でいけば、山本幸久ももうちょっとさりげなく上手さを出せれば本物なのかもしれない(偉そうだな俺も)。
とやかく書いたけど、「本の雑誌」で北上次郎が絶賛していたのも納得の一冊。この本を読めば、仕事にやる気を見いだせなくなっている人もやる気が出ること請け合いだよ。

凸凹デイズ
凸凹デイズ山本 幸久

文藝春秋 2005-10-25
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