Book

ワイン知らず、マンガ知らず(エティエンヌ・ダヴォドー)★★★★★ 7/11読了

自然派ワインの巨匠と社会派バンド・デシネ作家、異質な二人の交流と発見を描く実録マンガ。フランスでは累計27万部を売り上げ、およそ14言語で翻訳出版された話題作が待望の邦訳化。 原題を直訳すると「無知なる者たち、交わる手ほどきの物語」となるそうだ…

黄色い家(川上未映子)★★★☆☆ 7/7読了

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初め…

方舟(夕木春央)★★★★☆ 6/29読了

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。 翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異…

東京で十年。 店をもつこと、つづけること(井川直子)★★★☆☆ 6/25読了

2023年のdancyu5月号で、連載は100回を迎えた。今回の書籍化にあたっては50回までを掲載したが、掲載する店のほとんどが、変わらず多くの客に愛され、お手本のような「東京の良い店」であり続けている。人生の節目に通いたくなるような、「自分らしく通える…

黒牢城(米澤穂信)★★★☆☆ 6/19読了

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が…

盤上のパラダイス(若島正)★★★★☆ 6/12読了

マニアたちが熱愛する雑誌『詰将棋パラダイス』。創刊編集長の生き様と、そこに集う数奇な人々を活写した愛の物語。解説=芦沢央。 若い頃かなり将棋には熱中していたのだが、詰将棋にはそれほどハマらなかった。だからなのか、昭和63年に出たこの本も未読だ…

彗星交叉点(穂村弘)★★★☆☆ 5/30読了

街角でふと耳にした会話、お店の看板、子どもの主張、教室の机の落書き、家族の寝言など、たまたま出会った言葉の断片が詩に見えてくることがある。そんな「偶然性による結果的ポエム」についての考察。 あとがきによれば、「偶然性による結果的ポエム」につ…

五月 その他の短篇(アリ・スミス)★★★☆☆ 5/28読了

近所の木に恋する<私>、バグパイプの楽隊に付きまとわれる老女、おとぎ話ふうの語りの反復から立ち上がる予想外の奇譚……現代英語圏を代表する作家のユーモアと不思議に満ちた傑作短篇集。 どの短編もかなり不思議な話。訳が分からないなり読み進めていくと…

好きになってしまいました。(三浦しをん)★★★☆☆ 5/26読了

ページをめくれば浮世の憂さが晴れてゆく、 3年半ぶりのノンストップ・エッセイ! 観葉植物(一部名前がわからない)を愛で、ときに虫たちや鳥と戦い、 大好きな靴を手入れし、本と漫画に耽溺し、 旅の宿ではテンション高めのご亭主に完敗宣言。 どこから読んで…

からだの美(小川洋子)★★★☆☆ 5/15読了

魂は身体の細部にこそ宿る 隠された美を掬い取り、やわらかに照らし出す。極上の随筆16篇。イチローの肩、羽生善治の震える中指、ゴリラの背中、高橋大輔の魅惑的な首、ハダカデバネズミのたっぷりとした皮膚のたるみ、貴ノ花のふくらはぎ、赤ん坊の握りこぶ…

日本に住んでる世界のひと(金井真紀)★★★☆☆ 5/12読了

来日した理由はさまざま。暮らしぶりも十人十色。 一人ひとりのストーリーを通して見えてくる普段の生活、そして難民問題、地球温暖化、ジェノサイド、民主化運動、差別の歴史など。アイスランド、南アフリカ、スペイン、バルバドス、メキシコ、中国、イタリ…

貸本屋おせん(高瀬乃一)★★★☆☆ 5/11読了

第100回オール讀物新人賞を満場一致で受賞した著者が、満を持して送り出す初の作品集。 選考委員の村山由佳氏が”読み終えるなり「参りました」と呟いていた”と選評に記した受賞作「をりをり よみ耽り」の世界を5篇の連作で展開する。 物語の舞台は、文化年間…

まぬけなこよみ(津村記久子)★★★☆☆ 5/4読了

初詣の帰り道、正月の終わりを感じて絶望し、バンドTシャツを着て「これで自分になった」と思う。季節の言葉や風物詩にまつわる気持ちと思い出をほのぼのとつづる、まぬけな脱力系エッセイ集。クスリと笑いながらも季節の行事が待ち遠しくなる一冊! 季節の…

街とその不確かな壁(村上春樹)★★★★★ 4/25読了

その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。 私の一番好きな村上作品が『世界の終りとハードボイ…

11文字の檻: 青崎有吾短編集成(青崎有吾)★★★☆☆ 4/12読了

大事件に遭遇したカメラマンが感じた違和感を描く「加速していく」、全面ガラス張りの特異な屋敷での不可能殺人の顛末「噤ヶ森の硝子屋敷」、人気コミックのノベライズ「前髪は空を向いている」、どんでん返しの切れ味鋭い「your name」、百合小説として評判…

ゆうべの食卓(角田光代)★★★☆☆ 4/6読了

2020年6月から『オレンジページ』に掲載された「ゆうべの食卓」。新型コロナに翻弄されながら離婚を決意する女性。恋人にふられたのをきっかけに料理に目覚めるサラリーマン。実家を売却することになった兄弟のささやかな宴会。さまざまな人生のひとコマを「…

栞と噓の季節(米澤穂信)★★★☆☆ 3/30読了

猛毒の栞をめぐる、幾重もの噓。 高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。 ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。 小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。 持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブ…

リバー(奥田英朗)★★★★☆ 3/21読了

同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人…

土着品種でめぐるイタリアワインの愛し方(内藤和雄)★★★★★ 3/8読了

雑誌『料理通信』の人気連載「これだけは知っておきたいイタリア土着ブドウ品種」全78回が待望の書籍化。 プロフェッショナルから初心者まで、イタリアワインの理解に欠かせない、土着ブドウ品種の魅力を、郷土料理と共に紹介。 ワインや郷土料理の写真はも…

#真相をお話しします(結城真一郎)★★★☆☆ 3/6読了

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明ら…

勝負の店(久住昌之)★★★☆☆ 3/3読了

大人気ドラマ『孤独のグルメ』原作者によるエッセイ38篇。 旅先や散歩中に出会った気になる飲食店――ネットで検索はいっさいせず、入る前に店をよーく見て、想像力をたぎらせる。 決断が難しい店ほど、当たればワンアンドオンリーのおいしさと、ドラマがある…

おらおらでひとりいぐも(若竹千佐子)★★☆☆☆ 2/26読了

24歳の秋、故郷を飛び出した桃子さん。住み込みのバイト、周造との出会いと結婚、2児を必死に育てた日々、そして夫の突然の死―。70代、いまや独り茶を啜る桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい言葉で、内なる声たちがジャズセッションのように湧いてくる。お…

サキ短編集(サキ)★★★☆☆ 2/25読了

O・ヘンリ最大のライバル!残酷、非情、ユーモア、ペーソス、諷刺、 かなりブラックな短編が好きなあなたへ――。思わず唸る、救いのないどんでん返し21連発。ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の…

短歌のガチャポン(穂村弘)★★★☆☆ 2/25読了

現代短歌のフロントランナー穂村弘が腕によりをかけて選んだ、明治から現在までの短歌100首。うつくしい短歌、不思議な短歌、へんな短歌、おかしな短歌、不気味な短歌、かなしい短歌……。好きなところからひとつずつ取り出して、なんでもありのマジカルな短歌…

Ultimate Edition(阿部和重)★★★☆☆ 2/20読了

新時代の文学の旗手到来として世間を震撼させた『インディヴィジュアル・プロジェクション』から25年。 壮大な神町サーガを完結させ、約10年ぶりに刊行する短編集は、興奮必至の名作揃い。 ”はじめての阿部和重”、そして”これからの阿部和重”がここにある。 …

連鎖

食品会社の社長・篠原の遺体が高速道路の非常駐車帯で見つかった。手形が不渡りになり、自殺の恐れがあると、妻からの捜索願を受理していた大阪・京橋署の上坂と礒野は、自殺とみて捜査を始める。篠原をめぐる人間関係、巨額の保険金、そして手形の行方……絡…

なんとかしなくちゃ。 青雲編(恩田陸)★★★☆☆ 2/5読了

「これは、梯結子の問題解決及びその調達人生の記録である。」 大阪で代々続く海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘を母に持つ、梯結子。幼少の頃から「おもろい子やなー。才能あるなー。なんの才能かまだよう分からんけど」と父に言われ、「商売…

財布は踊る(原田ひ香)★★★☆☆ 1/29読了

60万部超え大ヒット作『三千円の使いかた』の著者、最新刊は「お金のつくりかた」! 会社の同僚と平凡な結婚をし、ひとり息子にも恵まれ、専業主婦として穏やかに暮らす葉月みづほ。彼女はある夢を実現するために、生活費を切り詰め、人知れず毎月二万円を貯…

じゃむパンの日(赤染晶子)★★★★☆ 1/23読了

時を超えて。生まれ育った京都へのおもい。こぼれだす笑い。 『乙女の密告』で芥川賞を受賞。 2017年に早逝した著者によるエッセイ55篇。岸本佐知子との「交換日記」併録。日常を描いていながら、想像が羽ばたき、 ことばで世界を様変わりさせていく。 ここ…

レンブラントの帽子(バーナード・マラマッド)★★☆☆☆ 1/20読了

『あしたから出版社』を読んで、島田潤一郎さんが1人で立ち上げた夏葉社の最初の一冊が本書だと知って読んでみた。3篇の作品が収められているが、正直どれもあまり面白い話ではない。ただ、どれも人間がよく描かれているという点で、興味深く読んだ。レン…